ひな祭りと言えばひな人形が話題にのぼりますよね。豪華なものでは、何段もある雛飾りを飾る家もあります。お内裏様とお雛様に始まり、三人官女や五人囃子、右大臣に左大臣など、五段や七段飾りでは人形の種類もかなり豊富です。
一方、そんな段飾りタイプのひな人形とは別に、つるし雛という手作りの小さな人形をたくさん吊るすタイプのひな人形があることをご存知でしょうか?こちらは段飾りタイプとは種類が違いますが、やはり人形やお飾りにはたくさんの種類があります。
どちらも女の子の健康な成長を願ったひな人形ですが、もともとはひな壇飾りから派生したのがつるし雛です。
今回の記事では、つるし雛についてご紹介します。
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つるし雛の由来とは?
つるし雛は、もともとは静岡県の伊豆稲取地区が発祥と言われています。
ひな壇飾りは、その昔は大変高価なものでした。今でも五段飾りや七段飾りなどになると大変高価なものですが、ひな祭りの習慣が一般化する江戸時代中期から幕末にかけてだんだん豪奢になっていったひな人形の段飾りは庶民には手が出しづらく、裕福な家や高貴な身分の家の子女だけが持てるものだったのです。
しかし、庶民の家であろうと、ひな祭りに子供の健やかな成長や幸せを願いたいという気持ちは同じです。そこで、豪華な段飾りや人形はなくとも、家にあるはぎれや布で子供の身代わりとなって厄を受けてくれるひな人形を手作りで作り、近所で持ち寄って紐で繋いでひな飾りを作ることにしたのです。これがつるし雛の始まりです。
各地で様々なつるし雛がある
つるし雛は、発祥の伊豆地区のみならず、山形県の酒田地区、福岡県の柳川地区も有名な地方です。
山形県 | 「傘福」「笠福」などと呼ばれ、61種類の飾りをつるすタイプ。 |
静岡県 | 「雛のつるし飾り」「吊るし」と呼ばれ、11個のお飾りを5列にして計55個つるすタイプ。 |
福岡県 | 「さげもん」「さがりもの」と呼ばれ、7個のお飾りを7列にして計49個つるすタイプ。 |
地域によって少しずつ名称と形式が違うのが面白いですね。
また、最近ではひな壇飾りの横につるし雛を飾る家もあるようです。美しいですが格式高く、どこか近寄りがたい雰囲気もあるひな壇飾りに対し、つるし雛は庶民の間から発祥したものだけあって、ほんわりとした雰囲気を持っているもので、両方飾ることで親しみやすい雰囲気にもすることができますね。
つるし雛のお飾りの意味は?
つるし雛の人形やお飾りにもたくさんの種類があり、一つ一つに意味が込められています。
ここでは、代表的なお飾りの種類と願い事についてご紹介します。
・桃
「桃の節句」にふさわしく代表的なお飾りとも言える桃。花・葉・種の全てに薬効があり、鎌倉時代には健康食品として実を食されていたという桃は、「邪気や悪霊を払い、延命長寿を授けてくれるように」との願いが込められています。
・梅、桜
ともに春には欠かせない花です。女性の美しく、芯の通った心を育む梅、花や葉の甘い香りで優しい心を育てる桜のどちらも、女の子の成長には喜ばしいものです。
・這い子人形、おくるみ人形
這い子人形は赤ちゃんがはいはいをしている姿、おくるみ人形は赤ちゃんがおくるみに包まれている姿です。ともに人形のように、赤ちゃんが元気に無事に育ちますようにとの願いが込められています。
・風車、紙風船
どちらも子供の遊び道具です。たくさん遊び、元気に育ってくれますようにという願いと、風車には何事においても良い風向きに恵まれるようにとの願いも込められています。
・鶴、亀
「鶴は千年、亀は万年」と言われるように、長寿の象徴とも言える動物です。長生きや健康への祈りが込められています。また、鶴は美しい姿で心を豊かにし、亀は一歩一歩歩む姿からたゆみない努力の大切さを教えてくれるとされています。
参考:つるし雛を作ってみた動画もご紹介します!
つるし雛作ってみました。Eteko
つるし雛も立派なひな人形の一つ。ひな人形のないお家は、つるし雛という選択肢も
今回の記事では、つるし雛についてご紹介しました。
つるし雛もひな人形の一つです。特に、段飾りや床置式では飾るスペースがないというお家でも、天井からつるすことのできるつるし雛は飾りやすく省スペースができる点でも非常に助かりますよね。
また、月齢の低い赤ちゃんの初節句にも、ベビーベッドの上や側につるしてあげれば、赤ちゃん自身も見ることができる素敵なひな飾りでもあります。
お住まいやお子様の成長に合わせ、つるし雛を選ぶというのも、アリではないでしょうか?
ご参考になれば、幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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