春先に飛散するものは花粉だけではありません。中国大陸からやってくる黄砂もその一つです。ぼんやりと遠くが霞む「春霞」の愛称で呼ぶこともありますが、最近ではこの黄砂にある環境汚染物質が含まれるようになり、風流と言ってばかりもいられなくなりました。
その微粒子とは、PM2.5です。環境汚染物質であるPM2.5はやはり同時期に偏西風によって黄砂と共に日本に飛来してしまうのです。このPM2.5を吸い込むとアレルギー症状を引き起こすことがあります。
また、黄砂そのものはアレルゲン(アレルギー原因物質)となるわけではありませんが、黄砂は微粒子ですから、元から呼吸器の弱い方や、鼻炎を持っている方は症状が悪化することがあります。
今回の記事では、黄砂の飛散ピークの時期やPM2.5との関連について解説します!
目次
2018年の黄砂の飛散ピークはいつ頃?
黄砂は毎年、中国大陸から偏西風に乗って日本にやってきます。この偏西風が吹き始めるのはだいたい2月ごろから5月ごろです。中でも、ピークを迎えるのは4月ごろです。このため、古くから春霞の名称で親しまれてきたのです。
参考:昨年の黄砂の様子
全国的に黄砂 迷惑な「春の使者」関東でも2年ぶり(17/05/07)
黄砂は一年中、日本に届いている!?
実は、黄砂そのものは一年中、中国大陸方面からの風が吹けば少しずつ日本に飛来しています。しかし、黄砂がはっきりと視認できるほど舞い散ってその被害が問題になるのは春先だけです。
これは、冬は風が弱いことに加えて、黄砂は日本海側で降雪や降雨となって落ちてしまい、また夏から秋にかけては全国的に突発的な降雨が起こるためです。砂が舞い上がりにくく、春ほどは黄砂が問題にならないのです。
黄砂とは何?なぜ日本にやってくるの?
黄砂について少しおさらいしてみます。黄砂とは、ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などの砂漠地域や、黄土地帯で舞い上がり、風で運ばれてくる微粒子のことです。つまり元を正せば土ですから、アレルギーの原因物質にはなりにくいのです。
黄砂には、もともと
・長石
・雲母
・緑泥石
などの鉱物が多く含まれており、日本まで到達するものは直径1ミクロン以上の大きなもの、特に4ミクロン程度のものが最も多いのです。
これらの土壌から数千メートルの上空まで巻き上げられた微粒子が偏西風に乗り、風が吹いていく間に様々な地域に沈降していく現象が黄砂です。この偏西風は中国大陸から北東アジア、特に日本や韓国を通過していきますが、地理的な都合で日本での被害が特に大きいという状況になっています。特に、西日本では黄砂で窓ガラスや自動車が汚れたり、粒子を拭き取る際にガラスが傷つくことがありますので注意が必要です。
参考:環境省『黄砂問題検討会報告書』
PM2.5との関係は?
冒頭に環境汚染物質として触れたPM2.5は、中国の急速な経済成長によって工場からの廃棄物、自動車の排気ガスなどが増えたことによって日本まで飛んできてしまうようになった有毒物質です。
2.5μm以下のごく小さな微粒子なので、総称してPM2.5と呼ばれています。
参考:環境省『PM2.5に関する情報』
これも偏西風に乗ってやってくるため、黄砂と同時にやってくることが多いのです。
PM2.5の身体的影響は?
PM2.5は、その小ささゆえに呼吸器から取り込まれやすく、臓器に影響してしまうことが懸念されています。
具体的には、
・ぜんそく
・肺がん
・心臓や血管など循環器系への悪影響
が起こると言われています。もともとは黄砂自体にアレルギー性はなかったものの、PM2.5と同時に吸い込んでしまうことでアレルギー症状を引き起こしてしまうようになってしまったのです。
春先の黄砂、PM2.5対策のためにもマスクを!
今回の記事では、黄砂の飛散ピーク時期やPM2.5との関連についてご紹介しました。黄砂そのものは元来、危険なものでは無かったのですがが、中国の近年の発展による弊害ともいえるPM2.5も合わさって飛来するようになったとわかります。
PM2.5の飛散自体を止めることはほぼ不可能ですので、できればピークになる4月を迎える前に、PM2.5の大きさもシャットアウトできるような微粒子対応のマスクなどの用意をし、偏西風のピークに備えましょう!
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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