日増しに春が近づき、春一番が吹く頃になってくると、「寒の戻り」という言葉を目や耳にする機会も増えてきますね。寒の戻りとは、春になったかのように暖かな気温が続く中、一時的に冬の寒さが戻ってくることを言います。
春めいてくる中、暖かく過ごしていたのに急に冬のように寒くなるので、「寒の戻り」と言います。
この「寒の戻り」、冬物のセーターやコートをなかなかしまえなくて大変ですよね。
では、寒の戻りはなぜ起こるのでしょうか?また、その意味と由来はどこから来ているのでしょうか?
今回の記事では、知っているようで意外と知らない言葉「寒の戻り」についてご紹介します。
目次
寒の戻りはなぜ起こる?
「寒の戻り」という現象は、一時的に寒さが戻ってくることを指しますが、その原因には次の2つの条件があります。
条件2)西高東低型の気圧配置になること。
どちらの条件下でも一時的に冬のような寒さが戻ってくるのですが、寒くなる時間帯などに違いがあります。
条件1)移動性高気圧型の気圧配置
1つ目の条件である「移動性高気圧」とは、春や秋の代表的な気圧配置です。
中国大陸方面から高気圧がやってきて、晴天となるので昼間は暖かいのですが、夜に雲がないため地面から放射熱がどんどん空気中に逃げていってしまい、夜の冷え込みが厳しくなる現象のことです。太陽が出るまでは暖まりませんから、朝の6時頃が一番冷え込んでしまい、翌朝も辛い気圧配置ということですね。
条件2)西高東低型の気圧配置
2つ目の条件である「西高東低型」とは主に冬に起こりやすい気圧配置です。
春一番の後の寒の戻りはこの気圧配置が原因で、低気圧が通過した後に一時的に西高東低型の冬の気圧配置になるものです。風は高気圧から低気圧に向かって吹くものですから、低気圧が通過した後に大量に北からの冷たい風が吹き込み、冬のような寒さになってしまうというわけなのです。この場合は朝晩だけでなく、日中も厳しい寒さに襲われます。
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寒の戻りの意味と由来について
そもそも、なぜ「寒」の「戻り」と言うのでしょうか?
それは、立春の日を「寒の明け」と呼んでいたことに由来します。
二十四節気によると、「寒」とは1月頭の「小寒」~2月頭の「立春」までのことを指しています。
この時期が旧暦で寒さが最も厳しい時期であり、「立春」を明けると寒さは次第に緩んでいくとされていたのです。
つまり、「寒」が「明けた」後なのに、まるで「寒」に「戻った」かのような寒さが訪れる。これが、「寒の戻り」と呼ばれる所以ですね。
花冷えとは?
類語に「花冷え」というものがありますが、「花冷え」は文字通りで花の咲くころの寒さを表しています。丁度、桜の咲く時期である3月末〜4月上旬ごろを示します。昔は日本で「花」と言えば「桜」のことでしたから、このような時期に該当するという解釈になります。
寒の戻りは気圧のせいだった!春先には充分な寒さ対策を
今回の記事では、知っているようでしらない「寒の戻り」についてご紹介しました。
「寒の戻り」という言葉を使うのは、主に2月頭の立春以降ですが、これは旧暦なので晩春を指すという説もあります。ですが、実際に暖かさの後に寒さを感じる温度変化は、立春ごろから度々起こってきます。
天気図の状態によって、寒さがどのように押し寄せてくるのかわかると、何気なく見ていたお天気ニュースの気圧配置の天気図のお話がより身近に感じられますよね。冬物をしまえないのはやきもきしますが、春先になっても油断せず、充分な寒さ対策を行っておきましょう!
最後までお読みいただきましてありがとうございました。